エイジュのスピーカーづくりは最終的に何を目指しているのか?というご質問をよく伺います。この答は簡単です。ただ音楽・ステージが目前に展開する存在感がない再生を目指しています。この為、アピール力を競う様なコンテストには向かないかも知れません。しかし、エイジュはアピール力は音楽ソースそのものにあるべきと考えます。この為、自らの音への色付けを避け、入力信号に対し限りなく自然な再生を狙っています。これはブランド創設以来ポリシーとして守り続けて参ったことです。具体的には・・・

 

1、エネルギー量より情報量を優先する

再生音に於いて例えば低域を例にとれば、低域のエネルギーが大きいと迫力が出てアピール力が強くなります。しかしよく聞いてみると、個々の楽器が判別できない。例えばコントラバスの旋律とチェロの旋律・大太鼓とティンパニのなり方等でこれを明確に表現するためにエネルギーを抑え情報量を優先する鳴り方のユニットにしています。このキーワードはいかに止めるかです。

2、高能率・高い過渡特性でなくてはならない。

前述した如く、空気中に粗密はを形成するというスピーカーユニット自体の構造は基本的にエジソンの時代から変わっていません。変わってきた事は各ユニットに使われている素材といえます。これは、化学が発達して軽く強い素材の開発が進んだからと思われます。特にソースがアナログからデジタルへの変遷があった時デジタルのダイナミックレンジに対応する為に、最大入力が一挙に拡大される事になりました。これは何を意味するかと申しますと、大きな入力に対応する為に使用されるVCは太い線を使う傾向となり、これに伴いコーン紙も重くなり 結果低能率となってしまいました。また現在ではこの様なつくりのユニットが多くを占めています。

この様な中 エイジュはまず軽くて強いコーン紙の選択からスタートしました。そして紙という選択にたどり着いたのです。これは、能率を優先するという考え方で

むやみに大きなストロークを持たせF₀を下げる事より波動波で振幅を出すという限りなく自然な運動のユニットとしています。この結果ユニット単体のF特は伸び

ミッドバスドライバーはフルレンジの様な特性となっています。

3、広い指向性を持たせる事

スピーカーから出る音は低い周波数ほど指向性が広くなり、高い周波数ほどこれが狭くなって過渡特性が高くなっていきます。この自然の原理を踏まえ、どの周波数をユニットの中心に持ってくるか?これが例えば2way,3way化したときの繋がりに大きく影響します。エイジュはこの時、焦点距離という言葉をよく使います。これが短いほど繋がりやすく、つながりの良いシステムは帯域の広いフルレンジに聞こえる物です。そこでエイジュはユニット自体に広い指向性を持つ絞り形状を採用し、広い指向性を持たせ、使いやすいユニットに仕上げています。

 

EF-100KV Cobolt  10㎝フルレンジドライバー

エイジュは最終的にはフルレンジと思っております。点音源の原則、繋がりはありません。これらの特徴を最大限に生かす周波数特性、すべてはここへ完結するといった思いで開発したユニットです。このユニットのベースモデルとなったのはSP-LE8Tです。あのパフォーマンスを持ったユニットが出来たらという思いで開発を続けて参りました。素材の吟味もさることながらやはり優れたフルレンジユニットが醸し出す音楽性は限りなく自然で美しいハーモニクスを表現します

EF-130KV    13㎝フルレンジドライバー

これは100KVの持っている特徴を踏まえユニット自体の基音域を下げたモデルです。もちろん開発コンセプトは100KVと同様ですが、特にボーカル帯域のいわゆるおなかから出る声を自然に出したいとの願いで開発しました。